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6 ローソンがIngress(イングレス)と国内初のコラボで、ゲーマーを集客!?

ローソン
ローソンが、陣取りゲーム「Ingress(イングレス)」と提携したことをついに発表! O2O戦略でゲーマーの誘客し、来店機会を増やせるか!?

ある朝、見覚えのある青いロゴマークが!


2014年11月15日の朝、グーグルが提供する位置情報ゲーム「Ingress(イングレス)」上で、見覚えのある青いロゴマークが多数現れ、プレイヤーの間で驚きの声が上がった。青地に白いミルク缶はまぎれもなくローソンのもの。通常なら申請の通らない公式ロゴ画像とともに、力の入った長い説明文も付けられていた。これは間違いなくローソンが「ポータル」に登録され、「Ingress」と提携したのでは? と噂され、すぐにプレイヤー間で賛否両論が巻き起こった。そして11月18日、ローソンは正式に「Ingress」との全面タイアップを発表した(ただし、直営ではない一部店舗やナチュラルローソン、100円ローソンは対象外)。

「Ingress(イングレス)」とは!?


ここで「何が起こっているのかよくわからない!?」という読者のために、一通り説明しておこう。まず、「Ingress(イングレス)」とは何なのか!? ざっくり言うと、「現実世界とリンクした陣取りゲーム」である。スマートフォンのGPSを使い、現実と連動したゲーム内の地図上で、プレイヤー(ゲーム内では“エージェント”と呼ばれる)が緑と青の2つのグループに分かれて「陣取り」を行う。地図上には「ポータル」と呼ばれる拠点(陣地)が表示され、主に神社仏閣、郵便局、公園などの公共施設、街中にある記念碑や彫刻、壁画などのランドマークが「ポータル」として登録されている。そこでプレイヤーがとる基本的なアクションは、以下の通りだ。

(1) ポータルを自軍の色に変える (敵軍の色になっている場合は攻撃する)
(2) 自軍の色になっているポータル同士をリンクさせる (点と点をつなぐ、線を引く)
(3) リンクをつなげて三角形のフィールドを作る (陣地を広げていく)

つまり、プレイヤーは「ポータル」を基準にしてゲームを展開していくわけなのだが、ゲームは地図の中だけでは完結せず、現実に存在する「ポータル」の半径40m以内に近づかなければゲームに参加できない仕組みになっている。その「ポータル」として全国のローソンが一括登録されたということは、プレイヤーがローソンに来店する確率が飛躍的に高まるということなのだ。というのも、「ポータル」が密集しているかどうかで出かける場所や食事をするスポットを決めるエージェントさえいるほどなので、「ポータルになっているなら近くのローソンへ行こう」とローソンに立ち寄る機会が増えることが当然考えられるわけである。

収益や経済効果に期待


このように「Ingress」との提携によって、現実のビジネスで収益を上げようとする事例はローソンだけでない。実はすでに海外ではアメリカの「ジャンバジュース」やレンタカーの「Zipcar」などが提携しており、店舗を「ポータル」として登録している。「Ingress」のプレイヤーは1日10km以上歩くことも普通なので、途中でジュースを飲んで休んだり、「ポータル」間を巡回するのにレンタカーを借りることさえある。ブランドを認知してもらいながら直接購買に結びつけ、売上の向上を期待できるO2O(Online to Offline)のプラットフォームとなっているのだ。コンビニが「ポータル」となっていれば、自然とドリンクや軽食を「ついで買い」するプレイヤーも増える。これまでコンビニが「ポータル」になった例はなかったが、こうした「Ingress」プレイヤーの生態に注目し提携したローソンの戦略は、かなり本気度が高いと言える。

事実、「Ingress」は単なるゲームではない。これまでに800万以上のダウンロード数を記録し、200以上の国や地域でプレイされている日本ではiOSユーザーの数が世界で最も多く、Android版に限っても世界トップ3に入る規模だという。iOSとAndroidの両方をあわせたエージェント数も世界で3番以内に入る。全世界で「Ingress」エージェントが動いた距離はトータルで1億km、ポータルを訪れた回数が1億7000万回。世界中にあるポータルの数は300万以上で、さらに申請がなされ審査待ち状態のポータルが300万もあるという。

こうしたスケールで展開している「Ingress」がもたらす経済効果はバカにならないだろう。「Ingress」自体は無料アプリだが、プレイ中にお金を使う「リアル課金」をするユーザーが多いという。「Ingress」をするために「新幹線ではなく青春18切符で上京した」り、「テーマパークや観光地に行く」というプレイヤーさえいるほどだ。

ユーザー(プレイヤー)にもメリット


ここまで読んできた読者の中には、「なんだかんだ言っても結局、金儲けの道具なんでしょ!」と思っている人もいるかもしれない。しかし、実際はユーザー(プレイヤー)にもメリットのあるのが「Ingress」だ(でなければ、みんなそんなにやらないでしょ!)。前に「プレイヤーが動いた距離は1億km」と書いたが、「Ingressで痩せる」「ダイエットになる」という効果もある。例えば、糖尿病を患っているプレイヤーが毎日歩き回ることで体重が20kg減少し、症状も改善したという事例が報告されている。

また、一人でも楽しめるが、戦略的に陣地の拡大する場合などには他のプレイヤーとコミュニケーションを取ってプレイするようになる。リアルに人間関係を結ぶ機会をつくるゲームでもあるのだ。

さらに、地域のコミュニケーションを促進するというメリットもある。「Ingress」はユーザーに外出を促すことをコンセプトとしたゲームで、具体的には「世界が舞台」「動いて遊ぶ」「新しい視点で街を見る」「現実世界で友情を育む」という4つの要素で設計されている。例えば、よく行く地域でも知らないで通り過ぎているような場所はある。歴史を伝える記念碑や史跡・旧跡などがあっても、その意味を知らなかったり、存在に気付くことさえないかもしれない。「Ingress」では、そのような場所が「ポータル」になっており、それまで知らなかったスポットや地域の魅力に直接触れる機会を創出するのだ。

こうした特徴を、地域経済の活性化に役立てることもできるだろう。日本には京都をはじめ、都市部に数多くの「ポータル」があるが、岩手県では震災復興や地域の観光振興のため、一般の参加者とともに市内各所を「ポータル」として申請する活動を行っている。岩手県のこの試みに、「Ingress」側も一部の申請に対して早期に審査を行う方針だという。

今後はAPIの開示も


このように急速に発展を続ける「Ingress」だが、今後は「API化」も進めているという。「ポータル」やグーグルマップの情報などをパッケージにして、その上でゲームが開発できるようなAPI(アプリケーションプログラミングインタフェース)を開示する予定で、「Ingress」というゲーム以外でも思わぬ拡張現実が体験できるアプリが誕生する可能性がある。
(コンビニウォッチ!編集部)